店舗体験を重視するラグジュリー・ブランド
今やインターネットは企業・消費者双方にとって無視できない存在だが、ブランド価値の低下という落とし穴もある。欧米のラグジュリー・ブランドの多くが、ネット通販はおろか、公式サイトの展開にも依然慎重で、実際の店舗で得られる体験にこだわるのはそのためだ。
イタリアのファッションブランド、「プラダ」のホームページをご覧になったことがあるだろうか?(www.prada.com)
アクセスすると、Pradaのロゴと写真が一枚出てくる。しかし、それだけ。ロゴをクリックしても写真をクリックしても何も出てこない。店舗のアクセスや問い合わせ先くらい載せてもいいようなものだが…。このサイト、手抜きではないか?
実はこれ、確信犯だそうだ。
「プラダ」はもともと、店舗体験を重視している。
建築家レム・コールハースの手掛けたNYの旗艦店や、表参道店のハイテク試着室などは有名だが、これらの店舗を“epicenter”(震源地)と呼んでいるように、顧客に足をはこんでもらい、ぜいたくな店舗でおもてなしをするというのが基本的なスタイルなのだ。
今やインターネットは企業にとっても消費者にとっても明らかに無視できない存在。ただし、落とし穴もある。インターネットは、手軽で早く、便利だが、高級ブランドの店舗を訪れるようなラグジュリー体験とは対極にある。ネット販売といえばどうしても安く買える、というイメージすらある。
ブランドの価値を落とさないようにするにはどうしたらいいか、この問題に対する現状の解答が「プラダ」のサイトではないか。ちなみに、フェンディのサイトも現在トップページのみだが、これがプラダ同様の確信犯なのか、“under construction”なのかは定かではない。(http://www.fendi.it/)
ちなみに、最近ではほとんどの一流ブランドが立派なホームページを持っているが、公式サイトで商品の販売まで行っているものはグッチ、エルメス(アメリカのみ)など数少ない。
高級時計の「ブライトリング」も充実したホームページをもっているが、ネット販売は行っていない(http://www.breitling.co.jp/)。それでも、インターネット効果で2002年以降米国内でのカタログ配布数は30%減少し、ブランドの売上は35%以上増加したという。そんな魔法のような威力を持つインターネットだが、「ブライトリング」のマーケティング・ディレクター、ベン・バルマーはこう語っている。「ラグジュリーブランドは、“buying experience”を提供しなければならない」
当面、ホームページで店舗体験以上のものを提供するのは難しいようだ。
August 22, 2005 | Permalink
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Comments
大変興味深い内容です。
弊社のwebサイト作成の参考になりました。
ありがとうございます。
Posted by: kobayashi | 23 Aug 2005 14:28:10