“Ouagadougou”? 日本語で表記すると「ワガドゥグー」となる。この文字を見ただけでピンとくる日本人は相当のツウである。
種明かしをしよう。アフリカの国、ブルキナファソの首都である。11世紀に成立したワガドグ王国の都として築かれた都市だが、そもそも「ワガドゥグー」という地名の由来は、行商人を意味する「ワガ」と村を意味する「ドゥグー」の合成語とする説がどうも一般的だ。昔からこの地は交易の拠点であったようだ。
なんでまた突然、そんな話を?
3日ほど前、そのワガドゥグーに向かう知人からメールがパリから届いたからだ。地図からも分かるように、ブルキナファソはサハラ砂漠の南に位置する。とにかく内陸部だ。コートジボアールのアビジャンからモシ鉄道で北東に向かう方法もあるが、やはり空路がはやい。はやいとは言っても、パリからたっぷり5時間はかかる。そのワガドゥグーで、昨日と今日の2日間、アフリカ開発銀行の年次総会が開かれている。日本政府代表も昨日、演説を行った。さきほどの知人も代表団の一員である。この種の年次総会では、開発銀行側が参加者のためにアクセスや宿泊情報をウェブサイトに掲示するが、さすがにワガドゥグー総会に関しては、いつもより詳細にアクセス情報をアップしている。
ワガドゥグーと並び、聞きなれない地名の筆頭格は、“Timbuktu” (ティンブクトゥ)であろう。今度はパソコンオタクならピンとくるはずだ。そう、インターネットが普及する前に登場し、話題となった遠隔操作ソフトである。たとえ相手が地球の裏側にいようと、あたかも椅子を並べ1台のパソコンをシェアしているかのような共同作業が可能になる。80年代後半、このソフトのデモンストレーションを初めて見て、興奮した記憶がある。
実はこのティンブクトゥ、奇しくもブルキナファソの隣国、マリ共和国にある古都の名前だ。ティンブクトゥはその近づきがたさのため、英語では以前から、「エキゾチックで遠い土地」とか「地の果て」を意味する隠喩として使われていた。それに着目したのが、ソフト開発会社のNetopia社というわけだ。秀逸なネーミングだが、同社がもし、ティンブクトゥではなく、ワガドゥグーに着目していたら、と想像をめぐらすのも楽しい。