昨日の日経夕刊に、分子生物学者の福岡伸一氏の興味深いエッセイ
が載ってましたね。「なぜ英語は聞けないか」という題のエッセイです。
要するに日本人にとって英語が聞き取りにくいのは、母音を強調する
日本語が100~1500ヘルツなのに対し、英語は2000~16000ヘルツ…
といった具合に「パスバンド」が大きく異なるからだそうです。
で、この写真の御仁が「パスバンド理論」の生みの親、フランスの
耳鼻咽喉科医師、アルフレッド・トマティス(Alfred Thomatis)さん。
彼が1947年に発見した法則というのは、人間は言語として聴くことが
できた周波数の音しか言語して話せないという法則で、どの音域の
音が聞こえるかは、幼児期の刷り込みによって決まるとか。。
この、聴きやすい周波数帯のことを「パスバンド」と言うのだそうですが
問題は、言語や民族によって「パスバンド」が著しく異なるという点で、
自分とは違うパスバンドで発せられた言語(音楽でもそうですが)は、
言語や音楽として聞こえてこない…という衝撃の事実を発見したそう
です。
各言語のパスバンドを比較した上の図を見ても分かるように、「英語」
といっても「米語」と「(イギリス)英語」とではずいぶん違うのですね~
以前、エイコンにもアメリカからの帰国子女で、完璧にバイリンガルの
日本人社員がいました。その彼女、米語はまったく問題ないのに、
英国大使館での打合せの際、なぜか、British Englishを聞き取るのに
ものすごく苦労していましたが、なるほど、これで謎が解けました。
実は(けっして自慢するわけじゃないですが)らっこにとっては米語も
英語もほぼ同じように聴くことができます。多分、幼児期にバイオリン
を習っていたので、高周波数域の音にも耳が慣れているせいかな?
と、これまた一人でナットクです。
ちなみに、モーツアルトとグレゴリオ聖歌の持つ音楽療法の効果を
いちはやく検証したのもトマティス博士。近年のモーツアルト・ブーム
の火付け親だそうです。
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