吉崎 弘高
(代表取締役社長/チーフ・コンサルタント)
売上を伸ばそうとして、GRPを増やしたり、DMを打ったり、必死になればなるほど、うるさがられたり、煙たがられたりする。特に昨今は、「売る」ためのメッセージを流し続ければ消費者から反感を買うことすらあります。
従来型のマーケティングは言うに及ばず、CRMやパーミッション・マーケティングといった近年の手法だって結局は商品やサービスを「売る」ことを目的としている以上、そうしたリスクをつねに伴います。そして、ひとたび反感を買えば、SNSやYouTubeやTwitterを経由して口コミは瞬時に広がり、大きなうねりとなって広告主に襲い掛かる。広告主にとっても広告会社にとっても頭の痛い問題ですね。
そんな中、反感を買うどころか消費者から喜ばれ、ありがたがられるマーケティングが今、世界中の関心を集めています。 “marketing with meaning”という名の新しいモデルです。
“marketing with meaning”とは、相手にとって価値のあるサービスを提供するマーケティング、社会的に意味のあるマーケティングのことです。要するに、「良いことをしよう」というのが大前提となっているので、「売る」ことを目的としたマーケティングとは発想が根底から異なります。こうした発想の転換を行って成功した企業も増えつつあるので、そうした事例を少しずつ紹介していきましょう。
リニューアル第2弾の今回は、飛行機を待つ間に誰でも無料で利用できるSamsung Mobile Charging Stationsと、州立公園を舞台にしたGovernment Solutions Groupのユニークな取り組みです。
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吉崎 弘高
(代表取締役社長/チーフ・コンサルタント)
第1回でご紹介するのは、カナダで2008年1月から実施された老舗シリアルブランド「Shreddies」のリニューアルキャンペーン。少し古い話ですが、世の中が暗いムードに包まれているからこそ、まずは思わず笑ってしまう事例を取り上げたいと思います。
シリアルは、北米では子供の頃から毎朝のように食べるもの。だから、「慣れ親しんだ味」の記憶が強く、へたに新商品を出して味を変えると、長年のファンが離れてしまうおそれがあるので、リニューアルはしづらいそうです。
でも、そうこうしている内にブランドが古びてしまう。これがシリアル業界の抱えているジレンマだそうです。
そんな中、見慣れた四角い「Shreddies」に加えて、新しくて刺激的なダイヤモンド型の「Diamond Shreddies」を新発売することでブランドの若返りを狙うというのが今回紹介するキャンペーンです。
"ジョークで売上を2割伸ばした一大キャンペーン(Diamond Shreddies、カナダ)"の続きを読む
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