Kさんというとても素敵なカップルがいます。
たまたま今晩もカウンターで隣り合わせになりました。
そうしたら、Kさん(ご主人の方です)がぽつっとこんなことを
言ったのです。
「おいしいものを出す店はたくさんありますよね。3万、5万も
出せば大概おいしいものを出す。でも、おいしく食べさせて
くれる店は本当い少ない。500円のメニューでも、おいしく
食べさせてくれればハッピーなのに…」
これって、仕事にもそのまま言える名言ですね。
昨夏、スイスのルツェルンで開かれた恒例の「ルツェルン音楽祭」…
その模様をテレビで観ていて、ルツェルン音楽祭管弦楽団の演奏に
珍しく聞き惚れてしまいました。なかでも圧巻は「最後の七つの歌」と
「交響曲 第4番ト長調」… いずれもマーラーの作品です。
http://www.nhk.or.jp/bsclassic/hvwth/
指揮はクラウディオ・アバド。
ウィーン国立歌劇場、ロンドン交響楽団の音楽監督を経て、90年には
カラヤンの跡を継いでベルリン・フィルの芸術監督に就任した名指揮者。
彼が若い頃はさほど気にも留めませんでしたが、当年76歳… 枯れる
ほどに豊かにほとばしる、その円熟ぶりは想像を絶していました。
いささかの誇張もなく、むしろ抑制の効いた彼の指揮は、音楽の魅力を
的確に聴衆に届けてくれるのです。で、なによりも驚いたのはアバドの
指先から目に見えないエネルギーがオーケストラの団員たちに向けて
放射されているではないですか!
普段は長めの指揮棒を持つアバドが、なぜか今回は指揮棒を持たず
手でのみ指揮をしているのです。たとえは稚拙かもしれませんが、紐を
一切使わずにたくさんの鵜を操る鵜匠のような、そんな感じです。
手で指揮をしているせいか、オーケストラとの一体感がさらに強まり、
彼の十本の指が紡ぎだす音楽は、とことん柔和で優しさにあふれて
います。会場にみなぎる不思議な愉悦感は、楽団員の笑顔からも
伝わってきます。一人ひとりがうれしそうに、そして実に生き生きと
演奏しているのです。
驚いたのはそれだけではありません。
メゾ・ソプラノのマグダレーナ・コジェナー が歌う「天上の喜び」を
挟んだ第4楽章が終わると、アバドは十本の指をスローモーションの
映像を見ているかのように、ゆっくりと、ゆっくりとたたみ、静かに胸に
置いたのです。あたかも感動・歓喜をひとつ残さず自らの胸にそっと
しまいこむ…。
拍手をする人は誰一人いません。その間、十秒近くあったでしょうか。
誰もが我を忘れて歓喜・感動に浸っているような満ち足りた静寂…
ようやく、それに続いて割れるような拍手、もちろんスタンディング・
オベーションです。
らっこにとっても、「指揮をする」ということの本質を垣間見たような
至福のひとときでした。音楽に限らず、こういう「指揮」をできたら
どんなにか素晴らしいことでしょう。
「こいつは春から縁起がいいわえ~♪」
お正月そうそう、お嬢吉三の名台詞をつぶやきたくなるような、素敵なお年賀を
親友のH夫妻からいただきました。
京菓匠 鶴屋吉信さんの季節限定の銘菓…その名も「福ハ内」です。
枡の中にお多福豆をかたどったおおぶりの桃山が入っていて、見ているだけで
幸せになる…そんな和菓子です。
味ですか?それはもう「ほっこり」の一言に尽きます。
節分の豆まきまではまだ日がありますが、みなさんにとっても今年が良い年で
ありますように☆
あ、そうそう…せっかくなので我が家のお手製おせち料理もちょっとだけご披露
しておきましょう。
「我が家の」とは言っても、実は大半がH夫妻のおもたせですが…(笑)
左は数の子、黒豆、酢ごぼう、からすみ…etc.
ちなみに、からすみはフランス産のマグロのからすみです。
右は根菜たっぷりの筑前煮。。
写真には写ってませんが、お雑煮は、京都の丸餅入り白味噌椀でした。
* * * * *
2010年がほっこりした年でありますように☆
ビタウタス・ランズベルギス…
日本ではあまり知られていない名前かもしれないけど、
実はリトアニアの元国家元首…。そのランズベルギスさんが
昨年11月に東京都内でピアノ演奏会を開いたとか…
そんな記事が今朝の朝日新聞の「ひと」欄に載っていました。
今は欧州議会議員として活躍しているそうだけど、政治に身を
投じるまではピアニストだったのだから、ピアノがうまいのは
当然ですね~(笑)
ただ、この記事を読みながら、プロの音楽家並みの実力を
もつ政治家が海外…特にヨーロッパ…にいかに多いかをふと
思い出したわけです。
たしかドイツの元首相、ヘルムート・シュミットもそうでしたね。
また、ピアノではないけど、英国の元駐日大使、サー・ジョンは
バイオリンが得意で、「一緒に室内楽の合奏をしましょうよ」と、
らっこも以前、誘われたことが…
日本でも、らっこの友人でカントリーリスク専門のエコノミストなど
は、オーケストラのビオラ奏者をつとめるかたわら、アルゼンチン
タンゴのピアノを弾いたりもする。でも、彼のように左脳だけでなく
右脳もフルに使っている人って日本ではまだ少数派かな?
「左脳×右脳」…で思い出したのが、もう何年も前のことだけど、
アメリカ人弁護士からディナーに招かれたときのこと…。
ワインのボトルを3本ほど空け、ほろ酔い気分になった頃、
その弁護士が突如、「各自、好きな詩の朗読をしようよ」と
言い出したのです。聞くところによると、アメリカでは弁護士
たるもの詩の朗読(暗誦)ぐらい出来るのは当たり前で、
弁護士のホームパーティなどでは、デザートタイムに必ずと
いっていいほど、順番に一人ずつ立って朗読するのだとか。
ふ~ん。。
人間の幅というか奥行きというか…それは、左脳だけでなく、
こうやって右脳もフルに駆使して、楽しむ、そんな姿勢から
もたらされるのでしょうね。
ちなみにその晩、彼が朗々と読み上げた詩はキプリングの
“On the road to Mandalay”。
韻が音楽のようにとても美しい詩で、そのリフレインの快感は
10年以上経った今でも、耳を澄ませば鮮明に蘇ってきます。
By the old Moulmein Pagoda, lookin' eastward to the sea,
There's a Burma girl a-settin', and I know she thinks o' me;
For the wind is in the palm-trees, and the temple-bells they say:
"Come you back, you British soldier; come you back to Mandalay!"
Come you back to Mandalay,
Where the old Flotilla lay:
Can't you 'ear their paddles chunkin' from Rangoon to Mandalay?
On the road to Mandalay,
Where the flyin'-fishes play,
An' the dawn comes up like thunder outer China 'crost the Bay!
皆さん、ごぶさた☆ らっこのカムバックで~す♪
決してブログをさぼっていたわけじゃありませんよ(笑)
たんぼに囲まれ、遠くには富士山と筑波山と男体山が見えるお伽の国で
しばしバカンスを楽しんでいたのです。また今度、機会があればじっくり
書きますが、本当に夢のような「お伽の国」でした
なぜって、景色だけじゃなく、そこに住んでいる人たちが東京のような都会では
決して出会うことのないような素敵な人たちなのです。心の底から人に優しく、
思いやりのある…そう、エンジェルのような人たちなのです。
そんな夢のようなお伽の国でバカンスを過ごすことができ、らっこは本当に
幸せでした。
そんなお伽の国をあとにした12月1日…朝日までももが、らっこを送り出すかの
ように、ひときわ輝いていました。